あめのあん

彼女が妊娠とか、結婚したとか、家買ったとか、人生が目まぐるしく動いているからいろいろ書いてます

胎児のむくみの検査にいった

妊婦健診で胎児の全身にむくみが見つかり、大きな病院での検査をすることになった。

通常胎児の首の後ろにむくみが見られると染色体異常を疑うようだ。先生に言われたわけではなく、検索して調べたことだけど、そういうことらしい。

でも僕の赤ちゃんのむくみは全身だ。厚みは1mm程度と薄い。一体なんなんだろう…

 

前の検診で先生にこのことを聞いた後、僕の赤ちゃんはダウン症だと思った。そしてそれは避けたいと思った。でも胎児のむくみのことを調べていくとダウン症より重篤な状態かもしれないという情報に行き当たり、本当にもうどうしようもない気持ちになる。

お腹の中で手術をする? 一体どうやって? 母体に危険はないのだろうか、次の検査まで1週間も待っていていいのだろうか。その間に手遅れになるなんてことはないのだろうか…

最悪なことばかりが頭に浮かんでどうしようもなかった。

彼女も同じような情報に行き着いているようで、ダウン症より厳しい状態もあり得るんだね…、などと話すことも多くなった。

検査の日まで重苦しい話もしたけど、彼女はつわりで苦しんでるし、できるだけ普通に振る舞った。キツかった。

 

検査の日、不慣れな上りの電車で都心に向かう。通勤ラッシュでひどい混雑。彼女はマタニティマークをつけることをまだためらっている。お腹も大きくないので、彼女が妊婦だとは誰も思わないだろう。彼女のお腹には赤ちゃんがいて、その赤ちゃんは大変な状態にあるのかもしれないなんて、誰にもわからない。

妊婦には通勤電車はキツすぎると思った。

 

病院に着いた。ものすごい大きな病院だ。圧倒される。

人もすごい。かなり待つことになった。

不安に押しつぶされながら順番を待った。

当たり前だけど産婦人科だから妊婦さんがたくさんいる。みんな色々な不安を抱えながらここにきているのだろうか。それとも順調なのだろうか。

同じような境遇の人はいるのだろうか。

そんなことを考えてしまった。

 

診察室に呼ばれた。

エコーを撮りながら先生が状態を見る。説明もしてくれた。

やはりむくみが見られるということで、間違いでもなければ、消えていることもなかった。

説明も同じようなものだった。

エコーだけを見てこれの原因や病名をいえる先生はいないでしょう、色々な可能性が考えられるので、一つずつ検査して原因を探していきましょう、ということだった。

そして最初の検査として、NIPTを勧められた。

やっぱりそうなのか…

先生ははっきりダウン症の疑いとは言わなかったけど、話しぶりからして染色体異常を一番に疑っているのは感じられた。

この結果を受けてどうするかを決めるのはお二人だし、それは尊重されます、ということも言っていた。この検査をする時にはもう12週を超えるので、中絶するにも分娩という形をとることになるとか、そういう具体的な話もあった。

そう、前回より遥かに具体的にダウン症である可能性を感じる内容を先生は話していた。

 

診察室を出た。

前の診察では冷静だった彼女が泣いていた。

僕もなんだか頭の整理ができず、彼女に言葉をかけることができなかったから、肩をそっとさすった。それしかできなかった。

 

正直に言うと、僕は中絶を選びたくはないと、その時すでに思っていた。自分でも本当に不思議なんだけど、彼女が妊娠する前は障がいがある子どもを育てる自信は全くなかった。出生前検査を受けられるのなら受けて、結果が障がいがあるということだったら諦めるんだろうなと、そう思っていた。

でも実際に彼女が妊娠して、お腹に赤ちゃんがいると思うと、なんと説明したらいいのかわからないが、中絶は避けたい、産まれてきて欲しいと思った。

でもこればかりは僕の気持ちを一方的に押し付けるわけにもいかない。責任逃れっぽいけど、彼女が気持ちを話すまでは黙っていなければと思った。

 

しばらくして、お互い少し落ち着いてきたのか、もらったパンフレットなんかを読み始めて、ポツポツと話し始めた。

「まだ決まったわけじゃないけど、ダウン症のこともっと調べないとね」

ダウン症だったら、本当に育てられるのかとかも考えないと、結論出せないよね」

「保育園とかも大変だっていうよね。そういうのも調べないと」

「でも私、あなたがどう思ってるかわからないけど、中絶しなくてもいいかなって。なんとか育てられるのかなって思ってる」

よかった…

彼女も同じ考えだった…

彼女が中絶する気はないとわかって、僕はとてもホッとしたのを覚えている。

ただ何かが確定したわけではない。今の段階で絶対に生んで育てようと彼女にいうのも早いと思った。

とにかく検査してみないとわからないし、もっと重篤な状態の可能性だってある。

ダウン症のことは調べるとして、検査をこなしていきながら、今後のことを考えていかなくてはならない。

 

今回が詳細な検査をするんだと思ってたけど、今日は別の先生での診察と、今後の方針を決めるということだった。

来週NIPTを受けて、その結果を受けて再来週には別の検査だという。その間に最初の病院で基本検査の結果を聞かなければならない。しばらくは落ち着かなそうだ。。

 

僕は結婚したら普通に子どもができて、つわりとか辛いながらも子どもは普通に産まれてきて、普通に育っていくんだと思っていた。彼女の突然の妊娠には驚いたけど、それが喜びに変わって、不安を抱えながらも来年の初めにはパパになるんだと思っていた。

それがこんなにいろんなことがあるとは…

前にも何度も書いているけど、人が一人産まれて育っていくっていうのは奇跡なんだと思う。

今回も改めてそう思っている。